はじめに
豊富な業界経験を持つ元役員を顧問として迎えた。経営のガバナンスや、金融機関との折衝、業界の慣習についてはさすがの知見で会社は安定した。
しかし、経営者が「AIによる検索結果が変わり、Webからの流入が激減しそうだ。どう対策すべきか?」「Wikipediaの記事が消されないために第三者記事をどう増やすか?」「SNSのコンテンツ量産体制を、組織としてどう作るべきか?」と、今まさに直面している“デジタル資産”の構築について尋ねた時、抽象的な会話に終始すると感じたことはないでしょうか。
これは、顧問の能力が低いからではありません。経営者が直面する課題の性質が、伝統的な顧問の性質とミスマッチを起こし始めているサインです。
第1章:なぜ、ミスマッチは起きるのか?
このミスマッチは、心理学における2種類の知能、「結晶性知能」と「流動性知能」で説明できます。人は年齢ごとに、秀でる能力の特性が異なるのです。
結晶性知能
過去の経験や学習によって蓄積される知恵。長年の経験に基づく判断力、業界知識、語彙力など。年齢と共に豊かになる傾向があり、伝統的な顧問が持つ価値の源泉は、主にこちらです。
流動性知能
新しい情報を取り入れ、未知のパターンを認識し、新しい問題を解決する能力。適応力、計算速度、抽象的な思考力など。30代〜40代で高いパフォーマンスを発揮するとされています。
お気づきでしょうか。従来の経営課題(品質管理、販路開拓、ガバナンス、伝統的な組織づくり)は、結晶性知能で解決できるものが大半でした。しかし、AI検索対策、SNS発信力に秀でた組織の構築といった「勝ちパターンが頻繁に変化する未確定な分野での、前例のない“デジタル資産づくり”」は、まさしく「流動性知能」を必要とする領域なのです。
第2章:現役の30〜40代を雇う妙味
未来予測:
今後、AIの進化やプラットフォームの変動により、経営課題はますます「前例のない(=流動性知能を要する)」ものになっていきます。過去の経験(結晶性知能)だけに頼る経営では、変化のスピードに対応しきれない場面が増えてくるでしょう。
行動指針1:雇うべきは、豊富な場数を踏む現役である
従来の顧問は豊富な経験を持っています。しかし、デジタル資産の構築は、今この瞬間もルールが変わり続ける最前線で戦っている知見でなければ対応できません。
重要なのは、その人材が「本業・副業の区別なく、今まさに、どれだけ多くの多様な顧客に伴走支援しているか」です。
複数の顧客を同時に支援している売れっ子人材は、一つの組織に所属しているだけでは得られない、多様な業界・多様な課題から得た最新の成功・失敗パターンをリアルタイムでインプットしています。この“知見の鮮度と多様性”こそが、過去の経験に頼る顧問にはない強みです。
行動指針2:30〜40代というスイートスポットを狙う
20代のデジタルネイティブはプレイヤーとして優秀かもしれませんが、デジタル資産を生み出すための“組織体制づくり”まで担える経験値はまだ十分ではないかもしれません。
一方、30代〜40代は、流動性知能が高く、かつ組織の中で仕組み化・体制化をリードした経験も併せ持つスイートスポットの世代です。
行動指針3:彼らを副業で確保する
この世代のエース級人材を、中小企業が正社員として雇うのは非現実的です。しかし、彼ら現役世代は、自らの力を試したい、貢献したいという意欲も高い年齢です。
副業という形でなら、彼らの「流動性知能」と「現役の知見」を活用することが可能になるのです。
第3章:「伝統的な顧問」 vs. 「現役の参謀」
あなたの会社が今、直面している「課題の性質」によって、必要とされる知見は異なります。
| 項目 | 伝統的な顧問(結晶性知能) | 現役世代の参謀(流動性知能) |
| 強み(知能) | 経験、業界知、人脈 | 適応力、パターン認識 |
| 得意な領域 | ガバナンス、財務、業界慣習、品質管理 | AI検索対策、SNS組織化、デジタル資産構築 |
| 提供価値 | 豊富な経験に基づく「判断」 | 変化の最前線にいる「適応」 |
| 知見のソース | 過去の深い経験(単一組織が中心) | 現在の多様な経験(リアルタイム・複数社) |
| 経営への影響 | 守り(安定・維持) | 攻め(適応・変革) |
まとめ
伝統的な顧問を雇うことが間違いなのではありません。彼らが持つ豊かな結晶性知能は、会社の“守り”や“安定”、そして伝統的な組織づくりにおいて、今もなお不可欠な経営資源です。
しかし、AI検索対策やSNSコンテンツ量産組織化といった、“攻め”のデジタル資産づくりを推進するためには、それとは異なる種類の能力が必要です。
前例のない課題を解決する「流動性知能」と、それを組織に実装する「現役の経験値」。そして何より、「本業・副業問わず、複数の現場に伴走することで得た、最新の価値パターン」。
そのすべてを兼ね備えた30〜40代のプロフェッショナルを、「副業」という形で経営の隣に置く。
それこそが、適材適所を考え、変化の時代を勝ち抜くための、新しいプロフェッショナル活用と言えるでしょう。
成功に近道なし。共に頑張りましょう。
