はじめに 副業人材のタレントプールが必要な背景
昨今、多くの企業が副業人材の活用に取り組んでいますが、「本当に欲しい人材」の確保に苦心されているのではないでしょうか。確かに今は、副業マッチングプラットフォームで募集をかければ優秀な人材が集まりやすい時代です。しかし、多くの企業が優秀な副業人材を起用するようになると差をつけるのは容易ではありません。より高度な専門性を持つ「“超”優秀な副業人材」の起用が必要になります。
この課題を解決する有効な手段として注目を集めているのが「タレントプール」です。本記事では、特に優秀な副業人材に特化したタレントプールの構築方法と運用のポイントを、実践的な視点から詳しく解説していきます。
なぜ今、副業人材のタレントプールが重要なのか
人材獲得競争が激化する中、特に専門性の高い副業人材の確保は企業にとって重要な経営課題となっています。実際、各種マッチングプラットフォームで副業募集を掲載すると、数日で10名程度の応募が集まることも珍しくありません。しかし、ここで経営者が直面する一歩先の課題は、「より高度な専門性を持つ、超優秀な副業人材」の確保にあります。
その背景には、以下のような市場の実態があります。
1. 超優秀な副業人材の時間的制約
高度な専門性を持つ副業人材の多くは、すでに複数の優良顧客を抱えており、新規の依頼を受けづらい状況にあります。そのため、通常の募集だけでは、このような人材との接点を作ることが極めて困難です。
例えば、高度なAI開発のスキルを持つエンジニアや、大規模マーケティング施策の経験を持つマーケターなどは、すでに価値の高い副業案件を複数抱えているケースがほとんどです。このような人材は、たとえ魅力的な案件があっても、時間的制約から新規の募集に応募することは稀です。
副業人材の視点
厚生労働省が副業に関する規定を新設した2018年、いわゆる副業解禁元年から7年が経とうとしています。早くから積極的に成長機会を求めた副業人材は、既に多くの経験とノウハウを積み上げました。大企業で本業に従事し円熟の専門性を身に着けた人材が、中小企業の副業で試行錯誤を重ね、事業規模の違いを超えて手堅く成果を出す手段を確立したのです。
本業を抱えて時間の余裕が少ない副業人材です。既に時間目いっぱいまで顧客を抱えた”超”優秀な副業人材を獲得するには工夫、例えばタレントプールづくりなどが求められます。
2. 優秀な副業人材の選択基準の変化
現在の副業市場では、単なる収入増加だけでなく、自己実現やスキルアップの機会を重視する傾向が強まっています。特に優秀な副業人材ほど、案件の選択基準が厳格です。
彼らが新しい副業先を検討する際の主な判断基準は以下のようなものです。
- 自身の専門性をさらに高められる案件かどうか
- 企業の成長性や将来性
- 企業の技術力や組織文化
- 既存の副業案件とのシナジー
- 長期的なキャリア形成における意義
このような多面的な判断基準を満たすためには、単なる募集掲載だけでなく、企業の魅力を継続的に発信し、理解を深めてもらう取り組みが必要です。
副業人材の視点
2024年、副業市場は”肩書モンスターの遊び場”の感がでてきました。誰もが知る有名な大企業、時にはナスダック上場企業の社長が、報酬3~5万円/月の副業に応募してくるのです。このような人材はほとんど趣味、たまに買収対象の目付など、報酬以外の視点で応募先を選んでいます。
成長機会を積極的に求める人材はおそらく優秀でしょうが、更なる猛者はまた違った眼で案件を吟味するのですね。副業市場の面白い所です。
3. 優秀人材との出会いのタイミング
群を抜いて優秀な人材との出会いには「タイミング」が極めて重要です。例えば以下のようなケースです。
- 既存の副業案件が一段落したタイミング
- キャリアの次のステップを模索しているタイミング
- 新しい技術分野にチャレンジしたいと考えているタイミング
このようなタイミングを逃さないためには、継続的な関係性の構築が不可欠となります。
タレントプールがもたらす具体的なメリット
それでは、副業人材に特化したタレントプールを構築することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。以下に主な利点を詳しく解説します。
1. “超”優秀人材との縁の蓄積
副業人材を募集する有力な手段が副業マッチングプラットフォームでの求人掲載です。1回の募集で若干名含まれる群を抜いて優秀な、しかし今回の要件には一致しない人材は、しっかりと連絡先を交換しておきます。必要になった際にすぐコンタクトをとれるようにするのです。
副業人材の視点
その案件で採用できなくとも、「今はまだ弊社が助力をお願いできるフェーズまで成長していない。時が来たらぜひ力を貸していただきたい」と伝えましょう。経営者も副業人材も、貴重な時間を割いて採用面接をしたわけです。次に繋がるよう好意的なコミュニケーションを心掛けます。
2. 採用判断の質の向上
通常の採用プロセスでは、応募してきた候補者の中から採用者を選ばねばならず、超優秀な人材を採用できる可能性は低くなります。しかし、超優秀人材のタレントプールをつくっておけば、超優秀な人材に手堅くオファーを出せるのです。
3. 採用スピードの向上
超優秀な人材を0から集めるには時間がかかります。あらかじめタレントプールをつくっておくことで、すみやかにコンタクトをとることができます。
副業人材に特化したタレントプールの構築プロセス
ここからは、実際にタレントプールを構築するための具体的なステップについて解説していきます。
STEP1:”超”優秀な副業人材を見極めるための定義づけ
まず最初に行うべきは、超優秀な副業人材像の明確化です。この段階で重要なのは、単なるスキルセットだけでなく、以下のような要素も含めて具体的に定義することです。
求める専門性の範囲: 技術スタックや業務経験だけでなく、問題解決能力やコミュニケーション力など、実際の業務で必要となる能力を具体的に定義します。
期待する成果: 「このような課題を解決してほしい」「このような成果を出してほしい」という期待値を明確にします。優秀な副業人材は、具体的な課題に対して、自身の経験やスキルをどのように活かせるかを重視します。
想定される関わり方: 稼働時間や勤務形態、コミュニケーション方法など、実務的な条件を明確にします。特に、既に副業を持つ人材に配慮し、柔軟な働き方を提案できるよう検討します。
STEP2:副業希望者を集める窓口づくり
次に、定義した人材が集まる窓口を作ります。ここで重要なのは、単なる募集活動ではなく、優秀な人材が関心を持ちやすい接点を設計することです。
副業マッチングプラットフォーム: 2018の副業元年から7年ほど経過し、マッチングプラットフォームが出会いの場として定着しました。まずはここに求人を掲載します。
情報発信の工夫: 自社の技術ブログや事例紹介など、専門性の高い情報発信を行います。優秀な副業人材は、企業の技術力や課題解決能力を重視するため、このような情報は重要な判断材料となります。
カジュアルな交流の機会: オンラインコミュニティやSlackチャンネルなど、カジュアルに交流できる場を設けることで、自然な形での関係構築が可能になります。
STEP3:データベースの設計と運用
収集した情報を効率的に管理するためのデータベースを構築します。特に以下の点に注意を払います。
基本情報の整理:
- 専門スキルとキャリア情報
- 副業の経験や実績
- 希望する働き方や条件
- コミュニケーション履歴
情報の更新管理: 優秀な副業人材は、常にスキルアップを続けています。定期的な情報更新の機会を設け、最新の状況を把握します。
プライバシーへの配慮: 特に副業人材の場合、情報管理には細心の注意が必要です。情報の取り扱い方針を明確にし、必要に応じて秘密保持契約を締結します。
副業人材の視点
引く手数多な副業人材は半年もすれば別人になっています。豊富な案件で揉まれ、それまでマーケティングの専門家だった人が営業のプロにもなっていたりします。プロジェクトを40個掛け持つといった、本業だけではありえない経験も副業を併用すれば積むことができるのです。
効果的な運用のための重要ポイント
案件の質と魅力の向上
優秀な副業人材を引きつけるためには、案件自体の魅力を高めることが重要です。以下のような点に注意を払いましょう。
専門性の発揮: 単純な作業ではなく、その人材の専門性が存分に発揮できる案件を用意します。例えば、新規事業の立ち上げや、重要なプロジェクトのアドバイザリーなど、付加価値の高い役割を提供することで、優秀な人材の興味を引くことができます。
柔軟な働き方: すでに複数の案件を抱える優秀な副業人材に配慮し、柔軟な稼働形態を提案します。例えば、月間の稼働時間を柔軟に調整できる仕組みや、アドバイザリー契約など、時間的制約の少ない関わり方を提示することも効果的です。
まとめ 成功のための重要なポイント
副業人材のタレントプール構築は、一朝一夕には実現できません。しかし、以下の点を意識して取り組むことで、確実に成果を上げることができます。
- 優秀な副業人材の特性と行動原理の理解
- 魅力的な案件と柔軟な働き方の提供
- 継続的かつ適切な距離感でのコミュニケーション
- 長期的な視点での関係構築
特に重要なのは、タレントプールを「単なる人材データベース」としてではなく、「優秀な人材との信頼関係を構築する仕組み」として捉えることです。この視点を持って、地道に取り組みを続けることが、成功への近道となるでしょう。
副業人材の視点
以上が自社で副業人材のタレントプールをつくる方法ですが、視点を変えて、マッチングプラットフォーム事業会社の社員に「良い人を知りませんか?」と聞く手もあります。プラットフォームの運営者をタレントプールと考えるわけです。
実際に私もプラットフォーム事業社の社員さんから、「〇〇社の案件を受けられないか」と相談をいただくことがあります。採用側の経営者が紹介を頼んだのですね。
成功に近道なし。共に頑張りましょう。
