次の課題を見通す企業へ。ボトルネックを先読みする、次なる一手

目次

はじめに

マーケティングを強化し、新規の問い合わせが増えた。その結果、今度は営業担当の手が回らなくなる。そこで営業体制を強化すると、次は製造部門が新たなボトルネックになる。

一つの課題を解決すると、次の新たな課題が姿を現す。ボトルネックの移り変わりは、経営では当たり前の出来事です。

しかし、常に対応に追われる中で、「もう少し先手を打てないだろうか?」「次に何が起こるか、予測しながら進められたら…」と感じる瞬間はないでしょうか。

本記事は、現在のボトルネックに着実に対処している経営者の皆様に、”さらなるチャレンジ”として、未来を先読みする経営体制を築く一手を提案するものです。


第1章:なぜ、ボトルネックは移り変わるのか?

中小企業の経営において、ボトルネック移り変わるスピードには凄まじいものがあります。
これには中小企業特有の、”影響されやすさ”が深くかかわっています。

中小企業の構造的特性:

規模が小さく、注力したことが企業全体に大きな影響を及ぼしやすいです。一つの機能が強化されると他の部分に影響が及び、最も弱い部分が次のボトルネックとして浮かび上がってきます。

現代の市場環境:

変化のスピードが速く、ニッチ領域に存在した数少ない顧客があっという間に心変わりします。当然、ボトルネックも変化していきます。

高速な変化に対応するため、問題が顕在化するたびに、その領域の「専門家(スペシャリスト)」を都度調達し、解決にあたる。これは、極めて論理的で、堅実な経営手法です。


第2章:「対症療法」から「予防医療」へ。企業の“さらなるチャレンジ”

未来予測:
今後、変化のスピードはさらに加速します。現在の課題に着実に対処する「対症療法」的な経営に加え、未来の課題を予測し、先手を打つ「予防医療」的な視点を持つことが、他社との差を生み出します。

この「予防医療」こそが、企業の”さらなるチャレンジ”です。

必要なのは、目の前の問題を解決する「専門家」の力に加えて、事業全体を俯瞰し、「次にどこが問題になるか」を先読みできる「事業家(ゼネリスト)」の視点です。

行動指針1:「専門家の都度調達」と、「事業家の囲い込み」

例えば「SNS広告の運用ができる人」を必要な都度で調達するのは、正しい経営判断です。

その堅実な経営と並行し、一歩進んだチャレンジとして、「事業家」を継続的に囲い込むことを検討します。

ここでいう事業課とは、豊富な場数を踏んだ経験から、「今、SNS広告で集客を2倍にしたら、3ヶ月後に受注管理とカスタマーサポートが破綻する。だから、広告の強化と並行して、今のうちからサポート体制の構築に着手すべきだ」と、先見性を持って指摘できる人材です。

行動指針2:副業市場の「特権」を活かし、事業家を囲い込む

そのような「先見性ある事業家」は、市場価値が極めて高いです。中小企業が彼らを正社員としてフルタイムで雇用するのは非現実的です。

しかし、副業人材市場が「雇い手優位」である今、状況は変わりました。かつては高嶺の花だった「先見性ある事業家」も、彼らの「知見で中小企業を支援したい」という貢献意欲と相まって、「副業参謀」としてなら継続的に囲い込むことが現実的に可能になっています。

行動指針3:彼らに「現在の問題」ではなく「未来の課題」を問う

この副業参謀を雇ったら、「どうすれば売上が上がりますか?」と目の前の問題を問うだけではもったいないです。

彼らの価値を最大限に引き出すために、こう問いかけてください。

「もし今、売上が2倍になったら、我が社は何が原因で立ち行かなくなると思いますか?」

彼らの本当の価値は、その「先見性」にあります。


第3章:「現在の課題解決」と「未来の課題の先読み」

ボトルネックへの対処法は、企業の成長戦略のフェーズとして整理できます。

項目✅ フェーズ1:現在の課題解決 (堅実な経営)✨ フェーズ2:未来の課題の先読み (さらなるチャレンジ)
活用する人材専門家 (Specialist)専門家 + 先見性ある事業家 (Visionary)
活用形態都度、単発発注 (On-demand)都度発注 + 継続リテイン (Continuous Retainer)
経営スタイル対症療法的 (Symptomatic)予防医療的 (Preventive)
企業の成長連続的な成長 (Sequential Growth)加速的・持続的な成長 (Accelerated, Sustainable Growth)

まとめ

中小企業の経営において、次々と現れるボトルネックをひとつひとつ着実に解消していくのは、正しい活動です。そのために、都度「専門家」の力を借りるのは妥当です。

この記事で提案したいのは、その堅実な経営からの、”さらなるチャレンジ”です。

副業人材市場が活況な今、かつては手の届かなかった「先見性ある事業家」を、副業参謀として継続的に確保するチャンスが生まれています。

これは必須の経営戦略ではありません。しかし、もしあなたの会社が、現在の課題解決から一歩進み、未来に先手を打つ企業への変革を目指すのであればお薦めです。

成功に近道なし。共に頑張りましょう。

一つの課題を解決すると、なぜ次の課題が現れるのですか?

ボトルネックの移り変わりは、経営では当たり前の出来事だからです。マーケを強化して問い合わせが増えると営業の手が回らなくなり、営業を強化すると製造が次のボトルネックになる。特に中小企業は規模が小さく、注力したことが企業全体に影響しやすいため、最も弱い部分が次々と浮かび上がります。市場の変化も速く、ボトルネックの移り変わるスピードには凄まじいものがあります。

問題が起きるたびに専門家を調達するのは、間違いですか?

間違いではありません。変化に対応するため、問題が顕在化するたびにその領域の専門家を都度調達して解決にあたるのは、極めて論理的で堅実な経営手法です。これはいわば「対症療法」。今後は変化のスピードがさらに加速するため、この堅実な経営に加えて、未来の課題を予測し先手を打つ「予防医療」的な視点を持つことが、他社との差を生みます。

「予防医療」的な経営には、どんな人材が必要ですか?

事業全体を俯瞰し、「次にどこが問題になるか」を先読みできる「事業家(ゼネラリスト)」の視点です。たとえば「今SNS広告で集客を2倍にしたら、3ヶ月後に受注管理とカスタマーサポートが破綻する。だから今のうちにサポート体制の構築に着手すべきだ」と、先見性を持って指摘できる人材。目の前の問題を解く専門家とは別に、こうした先読みができる人が必要になります。

先見性ある事業家を、中小企業がどう確保すればよいですか?

副業市場の「特権」を活かすことです。先見性ある事業家は市場価値が極めて高く、中小企業が正社員でフルタイム雇用するのは非現実的でした。しかし副業人材市場が雇い手優位である今、かつては高嶺の花だった人材も、その貢献意欲と相まって「副業参謀」として継続的に囲い込むことが現実的になっています。都度発注の専門家と、継続的に確保する事業家を組み合わせるのです。

副業参謀を雇ったら、何を問えばよいですか?

「現在の問題」ではなく「未来の課題」です。「どうすれば売上が上がりますか?」と目の前の問題を問うだけではもったいない。「もし今、売上が2倍になったら、我が社は何が原因で立ち行かなくなると思いますか?」と問いかけてください。彼らの本当の価値は、その先見性にあります。先回りで次のボトルネックを言い当ててもらうことが、予防医療的な経営の核心です。

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この記事を書いた人

砂川 大輔(すながわ だいすけ)

副業人材活用の専門家/トトノエルジャパン合同会社 代表

早稲田大学先進理工学部卒業、同大学院先進理工学研究科修了。新卒でアマゾンジャパン合同会社に入社し、マーケティングを担当。ハードライン事業本部にて最優秀マーケティング表彰を受ける。世界最先端のマーケティングの現場で、個人の能力に頼らず成果を出し続ける「しくみ」の力を学ぶ。

富士通株式会社CEO室にて、企業ビジョンの刷新や経営戦略の策定など、経営の意思決定に携わる。そのかたわら、副業人材として200社を超える中小企業の現場を支援。大企業で磨かれた経営の型を、中小企業で使える形に翻訳し、企業機能の内製化と自走する組織づくりに伴走している。自らもトトノエルジャパン合同会社を経営し、会社員・副業人材・経営者の、三足のわらじで活動。

副業人材活用の知見は行政・金融機関からも注目され、内閣府『プロフェッショナル人材活用ガイドブック』に歴代最多の3度掲載(2024、2026。うち2024は2事例)。厚生労働省広報誌『厚生労働』、野村證券『野村週報』に取材記事が掲載されたほか、株式会社みらいワークス「プロフェッショナルアワード2023」個人賞を受賞。高知県、和歌山県などの自治体・公的機関のセミナーや、大学の経営学部で登壇。2024年、副業人材活用の専門メディア『副業人材活用ラボ®』を開設し、編集長を務める。2026年には『経営者のための副業人材活用・適正運用ガイドライン』を公開。

2026年7月、初の著書『副業人材活用の戦略 参画企業200社超の専門家が実践から見出した企業経営者の思考と技術』(整流出版)を刊行。

掲げるビジョンは「よいものが正当に評価される社会をつくる」。

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