多くの経営者が頭を悩ませる中期経営計画の策定。特に中小企業では、専門的な知識やノウハウを持った人材が不足しているため、計画の立て方に苦心されているのではないでしょうか。本記事では、中期経営計画の基本的な考え方から、副業人材を活用した効果的な策定方法まで、実践的なポイントを解説します。
なぜ今、中期経営計画が重要なのか
ビジネス環境が目まぐるしく変化する現代において、中期経営計画は企業の羅針盤としての役割を果たします。3〜5年という期間で、企業が目指すべき方向性を明確にし、具体的な施策を練ることで、経営判断の基準となるからです。
しかし、計画策定の必要性を理解していても、「どこから手をつければよいかわからない」「社内にノウハウがない」といった課題を抱える経営者は少なくありません。特に、中小企業では専門人材の確保が困難なケースが多く、計画策定の質に不安を感じる声も聞かれます。
そこで注目したいのが、副業人材の活用です。戦略コンサルタントや事業計画策定の経験が豊富な副業人材と協働することで、質の高い中期経営計画を効率的に策定できます。コストを抑えながら、必要な専門性を確保できる点が、特に中小企業にとって大きなメリットとなります。
中期経営計画策定のメリット
まず、中期経営計画を策定することで得られる具体的なメリットについて理解を深めましょう。
経営の軸が明確になる
中期経営計画を策定することで、自社の進むべき方向性が明確になります。日々の意思決定において、「この判断は我々の目指す方向性に合致しているか」という基準を持つことができ、ブレのない経営が可能になります。
たとえば、新規事業の立ち上げを検討する際も、中期経営計画で定めた方向性に照らし合わせることで、より的確な判断が可能になります。「売上が見込めるから」という短期的な判断ではなく、中長期的な企業価値向上の観点から意思決定できるようになるのです。
社内の意識統一ができる
中期経営計画は、社員全員で共有すべき重要な羅針盤です。計画を通じて会社の方向性を示すことで、各部門や個々の社員が自分たちの役割をより明確に理解できるようになります。
特に、事業部門を越えた連携が必要なプロジェクトを推進する際に、その効果を実感することができます。「なぜこのプロジェクトが重要なのか」「どのような成果を目指しているのか」といった点について、中期経営計画を基に説明することで、部門間の協力体制を築きやすくなります。
外部との関係強化につながる
取引先や金融機関との関係においても、中期経営計画は重要な役割を果たします。明確な成長戦略と具体的な数値計画を示すことで、企業としての信頼性が高まり、より良好な関係を築くことができます。
特に、資金調達の場面では、その効果が顕著に表れます。綿密な中期経営計画があることで、金融機関との交渉もスムーズに進みやすくなるのです。
副業人材の視点
中期経営計画を立てたことのない経営者も多くいらっしゃいます。お話を伺うと、①効果を感じない②つくるノウハウがない③実現性を感じないという理由で動き出せないパターンがほとんどです。
ただ、順調に成長を続ける中小企業の経営者は、中期経営計画書には落としておらずとも、頭の中に明確なビジョンと計画が描かれているものです。
中小企業は外部環境の変化を受けやすく、そして人が辞めやすい傾向があります。しっかりとした中期経営計画は、それら難題に晒されても揺らぐことのない判断を後押ししてくれます。代表が根拠を持って経営判断を下すと、結果として人がついてきますし、経営が上手くいくものです。
副業人材を活用した中期経営計画の策定ステップ
それでは、副業人材と協働しながら、具体的にどのように中期経営計画を策定していけばよいのか、詳しく見ていきましょう。
Step1:現状分析と課題の洗い出し
計画策定の第一歩は、自社の現状を客観的に分析することです。この段階で副業人材を活用する最大のメリットは、外部の視点による冷静な分析が可能になることです。
たとえば、「うちの強みは品質の高さ」と経営者が考えていても、実際の顧客評価では「納期の正確さ」が選ばれる理由になっているかもしれません。外部の目を入れることで、こうした認識のズレを発見し、より実態に即した分析が可能になります。
現状分析では、以下のような専門性を持つ副業人材の知見が特に有効です。
市場分析のスペシャリスト: データに基づいて市場規模や成長性を分析し、自社のポジショニングを明確にします。「何となく伸びている」という感覚的な理解ではなく、具体的な数字とともに市場動向を把握することで、より説得力のある計画を立てることができます。
競合分析の専門家: 同業他社の動向を詳細に分析し、自社の競争優位性を明確にします。特に、他業界での経験が豊富な副業人材は、異業種の成功事例を参考にした提案も可能です。
財務アナリスト: 収益構造や資金繰りの観点から、自社の強みと課題を分析します。「利益は出ているが、キャッシュフローが悪い」といった、一見しただけではわかりにくい課題も浮き彫りにできます。
Step2:経営理念の再定義とビジョン策定
続いて、経営理念を現代に即した形で再解釈し、魅力的なビジョンを描く段階に入ります。この段階では、ブランディングやコーポレートコミュニケーションの経験豊富な副業人材との協働が効果的です。
特に重要なのは、経営理念と現場の実態をつなぐ「行動指針」の策定です。たとえば「顧客第一」という理念を掲げていても、それが具体的にどのような行動を指すのか、現場レベルまで落とし込めていない企業は少なくありません。
副業人材は、他社での経験を活かして、理念を具体的な行動レベルまで翻訳する支援ができます。「顧客からの問い合わせには○時間以内に返信する」「クレームはその日のうちに経営層まで報告する」といった、明確な行動指針の策定をサポートします。
Step3:具体的な戦略立案
ビジョン達成に向けた具体的な戦略を練る段階では、様々な専門性を持つ副業人材の知見が必要となります。
戦略コンサルタント: 成長戦略の立案をサポートします。市場環境や自社の強みを踏まえ、「どの市場で」「どのような価値を」「どのように提供するか」を具体的に検討します。
マーケティング戦略家: 顧客ニーズの分析から、具体的な販売戦略の立案まで、幅広い支援が可能です。特に、デジタルマーケティングの知見を持つ人材は、オンラインでの顧客接点強化策の提案も行えます。
DX人材: 業務効率化や新規サービス開発における、テクノロジーの活用方法を提案します。「うちには無理」と諦めていたデジタル化も、副業人材の支援があれば実現可能かもしれません。
Step4:数値計画の策定
戦略を具体的な数字に落とし込む段階では、財務や会計の専門知識を持つ副業人材との協働が不可欠です。
特に重要なのは、売上計画と投資計画のバランスです。「売上を○○円に増やす」という目標を立てても、そのために必要な投資額や人材採用コストが明確でなければ、絵に描いた餅になってしまいます。
財務の専門家である副業人材は、以下のような観点からサポートを行います:
- 部門別の売上・利益計画の策定
- 必要な投資額の算出とその回収計画
- 運転資金の試算と資金調達方法の検討
- 様々なシナリオに基づく財務シミュレーション
副業人材の視点
従来、Step1~4をこなせる人材を雇うにはコンサルティングファームや中小企業診断士の事務所に依頼するのが一般的でした。しかし費用が100万円を超えることも珍しくなく、中小企業には手が出しづらいものでした。
しかし副業人材の活用で上記の支援を15万円ほど(月5万円, 3カ月)で受けられる時代になっていますから、各段に中期経営計画が立てやすくなっているのです。士業には逆風、経営者には追い風が吹いています。
副業人材活用のポイント
1. 役割分担を明確に
中期経営計画の策定では、複数の副業人材が関わることも多くなります。そのため、各人材の役割と責任範囲を明確にすることが重要です。
プロジェクトマネージャー的な役割を担う副業人材を置き、その下で各専門家が連携する体制を構築することをお勧めします。具体的には、以下のような役割分担が考えられます。
プロジェクトマネージャー: 全体の進行管理と、社内外の調整を担当。経営者との密な連携のもと、プロジェクト全体をリードします。
戦略コンサルタント: 市場分析から戦略立案まで、計画の骨格となる部分を担当。他の専門家の知見も取り入れながら、実現可能性の高い戦略を策定します。
財務アナリスト: 数値計画の策定を担当。戦略を具体的な数字に落とし込み、実現可能性を財務面から検証します。
ライター・エディター: 計画書の作成と編集を担当。専門家の知見を、社内外に伝わりやすい形でまとめます。
副業人材の視点
驚くべきことに、上記のスキルを全て兼ね備えた人材も副業で採用が期待できる時代になっています。実際、ナスダックや東証上場企業の社長の間で副業が流行っており、「募集をかけたら社長が来た」という経験をした経営者も増えていますね。また、AIにより関連調査の負担がグッと削減されたので、個人でも中期経営計画を立てられる時代になってきています。
2. 社内メンバーとの連携強化
副業人材はあくまでも支援役であり、計画の主役は社内メンバーです。計画の実効性を高めるためには、社内の各部門との密な連携が不可欠です。
具体的には、以下のような取り組みを行うことをお勧めします。
定期的な進捗会議の開催: 週1回程度、副業人材と社内メンバーが集まり、進捗の確認と課題の共有を行います。オンラインツールを活用すれば、場所を問わず参加できます。
部門別のヒアリング: 各部門の責任者から、現場の課題や要望をヒアリング。計画に反映させることで、実現可能性を高めます。
中間報告会の実施: 計画の骨子が固まった段階で、全社員向けの報告会を開催。早い段階から社内の理解を得ることで、計画実行時のスムーズな協力体制を築けます。
3. マイルストーンの設定
中期経営計画の策定は、一般的に2〜3ヶ月かかります。この期間を効率的に使うために、明確なマイルストーンを設定することが重要です。
たとえば、以下のようなスケジュールを組むことをお勧めします。
第1週〜2週:
- キックオフミーティング
- 現状分析の開始
- 必要なデータの収集
第3週〜4週:
- 現状分析の取りまとめ
- 経営理念の再確認
- ビジョンの検討開始
第5週〜8週:
- 戦略の立案
- 数値計画の策定
- 社内からのフィードバック収集
第9週〜12週:
- 計画書の作成
- 社内説明会の実施
- 最終調整
中期経営計画策定後のフォローアップ
計画の策定で終わりではありません。策定後も、定期的な進捗確認と軌道修正が必要です。この段階でも、副業人材を効果的に活用できます。
進捗管理の仕組み構築
計画の実効性を高めるには、適切な進捗管理の仕組みが不可欠です。KPIの設定から管理方法の確立まで、副業人材のサポートを受けることをお勧めします。
特に、以下のような点でプロフェッショナルの知見が活きてきます。
- 部門別KPIの設定と管理方法の確立
- 進捗報告フォーマットの作成
- ダッシュボードの構築
定期的な見直しとアップデート
環境変化が激しい現代では、計画の定期的な見直しも重要です。四半期ごとに計画の妥当性を検証し、必要に応じて修正を加えることをお勧めします。
この際も、策定時に関わった副業人材の支援を受けることで、より効果的な見直しが可能になります。
注意点
中期経営計画の策定は、確かに容易な取り組みではありません。しかし、副業人材を効果的に活用することで、専門性の高い、実現可能性の高い計画を策定することが可能です。
重要なのは、「計画のための計画」に終わらせないことです。副業人材の知見を活かしながら、以下の点に特に注意を払って策定を進めましょう。
実行可能性を重視する
どんなに素晴らしい計画でも、実行できなければ意味がありません。社内リソースや資金面での制約を十分に考慮し、「背伸びをしすぎない」計画を立てることが重要です。
副業人材の役割は、理想と現実のバランスを取ることです。他社での経験を活かしながら、御社の実情に合った実践的な計画づくりをサポートします。
社内の巻き込みを意識する
中期経営計画は、経営層だけのものではありません。実行段階では、全社員の協力が不可欠です。そのため、策定段階から可能な限り社内メンバーを巻き込んでいくことが重要です。
副業人材は、この「巻き込み」のプロセスもサポートできます。各部門との対話の場を設定し、現場の声を計画に反映させていく──。そうした取り組みを通じて、全社一丸となって取り組める計画を作り上げていきましょう。
柔軟性を確保する
不確実性の高い現代において、計画に柔軟性を持たせることは必須です。環境変化に応じて軌道修正できる余地を残しつつ、核となる部分はブレない──。そんなバランスの取れた計画を目指しましょう。
副業人材の選び方
最後に、中期経営計画策定に向けた副業人材の選び方についても触れておきましょう。
求められる専門性を明確にする
前述の通り、中期経営計画の策定には様々な専門性が必要となります。自社に特に不足している専門性は何か、どの分野の知見が必要かを明確にした上で、人材選びを進めましょう。
経験値を重視する
特に重要なのは、実務経験の豊富さです。理論だけでなく、実践的なアドバイスができる人材を選ぶことで、より実効性の高い計画を策定できます。
コミュニケーション力を確認する
専門性があっても、社内メンバーとの協働が難しい人材では困ります。事前の面談等で、コミュニケーション力もしっかりと確認しましょう。
おわりに
中期経営計画の策定は、企業の未来を左右する重要な取り組みです。必要な専門性を持つ副業人材と協働することで、その成功確率を大きく高めることができます。
特に中小企業にとって、副業人材の活用は「専門性の壁」を越えるための有効な選択肢となるでしょう。本記事で紹介した点に注意を払いながら、御社らしい中期経営計画の策定に取り組んでみてはいかがでしょうか。
成功に近道なし。共に頑張りましょう。
