副業人材が語る、副業人材の活用で成果を出す企業の特徴

近年、多くの企業が副業人材の活用に取り組んでいます。しかし、その成果には大きな差が生じているのが実態です。では、副業人材を効果的に活用し、成果を上げている企業にはどのような特徴があるのでしょうか。本記事では、実際に副業として複数の企業とお仕事を共にしている人材の視点から、成功企業の特徴を解説します。

目次

成果を出す企業はPDCAのD(実行)に優れる

副業人材の活用において、最も重要なのは「実行力」です。多くの企業がPlan(計画)に力を入れすぎる傾向にありますが、実際に成果を出している企業は、Do(実行)のフェーズを重視しています。

具体的には、副業人材から提案された施策を、スピーディーに実行に移す体制が整っています。例えば、マーケティング施策の提案を受けた際、必要な承認プロセスを最小限に抑え、すぐにテストマーケティングを開始できる環境を整えているのです。

このような素早い実行力は、限られた時間で働く副業人材の専門性を最大限に活かすことにつながります。また、実行しデータが貯まってくると半自動的に検証→改善のフェーズも進みます。結果的にPDCAサイクルを早く回すことになり、より効果的な施策の発見にもつながっています。

副業者の視点

「いや、それでもPlan(計画)が大事じゃないか」とおっしゃる経営者もいらっしゃいます。確かにその通りなのですが、多数の応募者の中から選ばれた副業人材は既に同様の場面を何度も経験してきており、適切な解決方法の目星がついていることが多いのです。これは既にPlan(計画)が済んだ状態といえます。

副業人材から提案される内容はいわゆる定石ですから、簡単なファクトチェックを入れて速やかに実行してしまうことをお勧めします。

「提案を素直に聞き、すぐに行動する」ことが意識改革や実際の成果に繋がる

成果を出している企業のもう一つの特徴は、副業人材からの提案に対する「素直さ」です。これは単に言われたことをそのまま受け入れるという意味ではありません。

むしろ、提案の意図や背景を理解しようとする姿勢、そして建設的な対話を通じて最適な解決策を見出そうとする態度を指します。例えば、「それは当社では難しい」という否定から入るのではなく、「どうすればそれを実現できるか」という視点で検討を始める企業が、結果として大きな成果を上げています。

また、このような前向きな姿勢は、社内の意識改革にもつながっています。副業人材の新しい視点や手法を受け入れることで、従来の仕事の進め方を見直すきっかけとなり、組織全体の生産性向上にも寄与しているのです。

副業人材の視点

成功する企業の担当者は、私が提案を差し上げた際に「これはこうこうこういうことですね」と自らの言葉で確認してくれることが多いです。人は腑に落ちると行動を起こしやすい生き物ですから、お打合せ中にしっかり確認してくださるのはありがたいと感じます。

新たな提案も積極的に受け入れる度量、権限、行動の余力が勝敗を分ける

成功企業の三つ目の特徴は、副業人材という異質な存在からの提案も受け入れられる「余裕」です。これは以下の三つの要素から成り立っています:

まず「度量」です。当初の想定と異なる提案であっても、その価値を見極めて採用する懐の深さを持っています。次に「権限」です。副業人材が提案した施策を実行に移すための意思決定権限および財務権限が、適切な範囲で付与されています。そして「行動の余力」です。新しい取り組みを実行するための人的リソースが確保されています。

特に注目すべきは、これらの要素が揃っている企業では、副業人材のモチベーションも高く維持されている点です。自身の専門性を最大限に活かせる環境があることで、より積極的な提案や関与を引き出すことができています。

まとめ

副業人材の活用で成果を上げている企業には、以下のような明確な特徴があります。

第一に、計画よりも実行の速度を重視し、結果的にスピーディーなPDCAサイクルが回る仕組みを整えています。第二に、副業人材からの提案に対して建設的な対話を行い、実現に向けて前向きに検討する姿勢を持っています。そして第三に、新しい取り組みを受け入れるための度量、権限、リソースが適切に確保されています。

これらの特徴は、一朝一夕に整えられるものではありません。しかし、これらを意識し、一つずつ改善していくことで、副業人材の力を最大限に引き出し、期待する成果を上げる確度を高められるのです。

成功に近道なし。共に頑張りましょう。

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この記事を書いた人

砂川 大輔(すながわ だいすけ)
副業人材活用の専門家/副業人材活用ラボ®編集長/トトノエルジャパン合同会社 代表

専門領域:副業・兼業人材の企業活用、外部人材から組織への能力移転、中小企業の人的資本形成

早稲田大学先進理工学部卒業、同大学院先進理工学研究科修了。アマゾンジャパン合同会社でマーケティングに従事し、ハードライン事業本部最優秀マーケティング表彰を受賞。富士通株式会社CEO室では、企業ビジョンの刷新や経営戦略の策定など、経営の意思決定支援に携わった。

大企業での実務と並行して、副業人材として200社を超える中小企業を支援。戦略、人事、営業、マーケティングなど幅広い経営課題に携わる中で、外部人材に業務を代行してもらうだけでなく、その知識・技術・判断基準を企業内部へ移し、最終的な自走につなげる「能力移転型」の副業人材活用モデルを提唱している。現在は、副業・兼業人材を「採用する」こと以上に、企業がその能力をいかに受け取り、組織能力として蓄積するかを主要な研究・実践テーマとしている。

副業人材活用に関する実践事例は、内閣府『プロフェッショナル人材活用ガイドブック』に計3事例掲載(2024年2事例、2026年1事例)。厚生労働省広報誌『厚生労働』、野村證券『野村週報』などにも取り上げられた。株式会社みらいワークス「プロフェッショナルアワード2023」個人賞を受賞。高知県、和歌山県をはじめとする自治体・公的機関のセミナーや、大学経営学部での登壇実績を持つ。

2024年、副業人材活用に特化した専門メディア『副業人材活用ラボ®』を開設し、編集長に就任。2026年には『経営者のための副業人材活用・適正運用ガイドライン』を公開し、著書『副業人材活用の戦略―参画企業200社超の専門家が実践から見出した企業経営者の思考と技術』(整流出版)を刊行。副業人材活用に関する研究発表・論文執筆にも取り組む。人材育成学会員。

研究・実践上の関心領域は、副業・兼業人材活用、外部専門人材の能力移転、中小企業の人的資本形成、企業の内製化・自走化、地域企業における外部人材活用。

掲げるビジョンは「よいものが正当に評価される社会をつくる」。

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