AIの時代に人が行うべきこと

目次

ポイント

  • AI活用は経営の必須に
  • AIと人、役割観のアップデートを迫られる
  • アマゾンなど大手ビックテックのふるまいを模倣できるようになった

私たちは今、歴史上でも特筆すべき転換期を迎えています。2022年までのビジネス環境では、経営者の経験と勘が意思決定の核でした。しかし、2023年にChatGPTが表舞台に登場し、その状況は一変しました。企業経営におけるAI活用は、もはや選択肢ではなく必須となった感があります。

この急速な変化は、多くの経営者に戸惑いをもたらしています。AI導入に積極的に取り組んでも期待した効果が得られない、むしろ業務が複雑化してしまうといった声も耳にします。なぜこのような状況が起きているのか考えてみます。

その答えは、AI時代における人間の役割の誤認識にあります。AIツールの一般化が進んだ2024年、成功企業と停滞企業の差は、AIの性能ではなく、それを活用する人間側の体制にありました。

経営支援の変遷

  • 従来:人間(例えばコンサルタント)による一般解の提供
  • 現在:AI参謀と人の役割観の更新期
  • 未来:人間とAIの役割明確化による競争優位の確立

手前味噌ですが、私の会社の例をお話します。
弊社トトノエルジャパンは、2024年を通じてAI活用による業務改善に取り組み、コンサルタント1人あたりの担当顧客数を15.3社から28.9社へと向上できました。リサーチやシナリオの策定、説明資料の準備など、時間を要する業務を中心に効率化を施しました。結果、業務可処分時間の約70%をお客様との対話に充てられるようになり、より深い課題理解と効果的なソリューション提供を実現しています。

AI時代における人間の5つの重要な役割

これまた手前味噌で恐縮ですが、私が大切にした考え方を5つご紹介します。

  1. 問題認識力の拡大
    潜在的な課題を見出し、言語化する能力は、AI時代においてより重要になっています。ある製造業のクライアントは「営業成績が伸びない」という課題認識を持っていました。しかし詳細な対話を重ねた結果、実際の問題は「製品の強みが営業現場で正確に伝わっていない」という、より本質的な点にありました。この気づきにより、AIへの依頼プロンプトが洗練され、効果的な営業支援システムの開発につながり、売上の向上を実現できました。
  2. 情報提供の質と量の確保
    AIの出力品質は、入力される情報の質と量に大きく依存します。ある小売業のケースでは、顧客の購買データだけでなく、店舗スタッフの日々の気づきや顧客との会話内容まで体系的に収集・整理することで、AIによる需要予測の精度を大幅に向上させました。古巣のアマゾンをはじめ、世界の大手ビックテックは社員や顧客に情報を入力させて自社AIを鍛える方法を何年も前から繰り返している話は有名ですね。
  3. AIからの提案の取捨選択
    現代のAIは複数の選択肢を提示できますが、その中から実現可能で効果的な案を選び出すのは人間の役割です。ある建設業のクライアントでは、工期短縮のためAIが提案した複数の工程改善案の中から、現場の実情に合わせて最適な施策を選択。その結果、作業効率を維持しながら工期を15%短縮することに成功しました。重要なのは、AIの提案を鵜呑みにせず、現場の状況や人員配置、コストなど、多角的な視点で判断を行うことです。
  4. 具体的な施策の実行
    どれほど優れた計画でも、実行されなければ意味がありません。AI時代における人間の重要な役割の一つが、計画を現場で実現させることです。製造業のあるクライアントでは、AIが提案した生産計画の実装に苦心していました。そこで現場作業員との密な対話を通じて実施手順を調整し、段階的な導入を行うことで、混乱なく新システムへの移行を実現。結果として生産効率が23%向上しました。
  5. 経験値による精度と速度の向上
    1から4の活動は、経験を重ねることで磨き上げられます。サービス業のクライアントでは、AI活用の経験を積み重ねることで、課題の特定から解決策の実装までの期間を当初の半分以下に短縮。さらに、施策の成功率も大きく向上させています。

これからの経営者が取るべきアクション

短期的な取り組み:
まずは身近な業務からAI活用を始めることです。たとえば定型文書の作成や市場調査など、比較的リスクの低い業務から着手し、組織全体でAIリテラシーを高めていきます。ここで重要なのは、完璧を求めすぎないことですね。試行錯誤を通じて、自社に適したAI活用の形を見出していきましょう。

中期的な取り組み:
データの収集・管理体制の整備が必要です。これは単なるシステムの問題ではありません。社員が日々の気づきを共有しやすい組織文化の醸成や、情報の質を担保する仕組みづくりも含まれます。この過程で、部門間の連携強化やナレッジ共有の促進といった副次的な効果も期待できます。

長期的な取り組み:
持続的な競争優位の確立を目指します。AI活用の経験値を組織の資産として蓄積し、継続的な改善サイクルを確立することで、競合他社との差別化を図ります。

結論:新時代の競争力の源泉

AI時代における企業競争力の本質は、テクノロジーそのものではなく、それを活用する人間の能力にあります。特に重要なのは、以下の3点です。

  1. 本質的な課題を見抜く洞察力
  2. 人とAIそれぞれの役割の自覚
  3. 継続的な学習と改善の姿勢

これからの経営者に求められるのは、AIと人の役割が従来と逆転したことを踏まえた経営判断です。AIを導入すれば自動的に業績が向上する、という期待は捨てる必要があります。AIの創造性と人間の実行力を組み合わせることが、これからの時代の競争力につながると考えています。

変化の激しい時代だからこそ、時代に合わせた価値観のアップデートが必要と感じます。そのためにまず一歩を踏み出すことをお勧めします。その一歩が、新たな可能性への扉を開くことになるはずです。

成功に近道なし。共に頑張りましょう。

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この記事を書いた人

副業人材活用の専門家。副業人材活用ラボ編集長。
富士通・アマゾンジャパン出身。
トトノエルジャパン合同会社 代表。

大企業に勤めながら副業として200社超の経営支援を実施。
経営者が副業プロ人材を活用して経営課題を解決するための実践ノウハウを発信中。

内閣府 プロフェッショナル人材活用ガイドブック2026,2024
厚生労働省 広報誌『厚生労働 2024年11月号』
野村證券株式会社 投資家向け情報誌『野村週報 2025年4月7日号』
株式会社みらいワークス プロフェッショナルアワード2023 個人賞

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